産後のママの体は妊娠中と同様にとてもデリケートで、いろんな変化が起こります。出産後に元の体に戻ろうとする8週間を「産後の肥立ち」や「産褥期」と呼び、体が急激に元の状態に戻ろうとしてホルモンバランスも大きく変わり、様々な痛みや不快な症状があります。また、免疫力も低下してウィルスなどに感染しやすくなります。
さらに、生活も急激に変化するので、体だけでなく精神面も不安定になりがちです。
無理せず適切なケアをして、赤ちゃんとの楽しい毎日を過ごしていきましょう。
会陰切開の傷、妊娠線は消える?
妊娠、出産の際にできた傷や静脈瘤などは、産後かなり目立たなくなります。でも残念ながら完全に消えてなくなることはないようです。会陰切開や裂傷の痕は1ヵ月健診のころにはほとんどわからなくなります。なかには「つれる」ような感じを訴える人もいますが、それも2〜3ヵ月で次第に消えていくでしょう。
妊娠線は白っぽい跡となって残りますが、次第に薄く目立たなくなってきます。帝王切開の跡も、現在の手術は昔よりかなり目立たなくなっています。完全に消えることはありませんが、ほとんどわからないくらいまでになる人も多いようです。
子宮下垂、子宮脱って?
分娩時に骨盤底筋や靭帯などを傷めた影響で、子宮が膣の方にまで下がってくることがあります。それが子宮下垂。ひどくなると子宮が膣の外にまで落ちてきてしまうので、子宮脱と呼ばれます。将来の尿失禁につながることもあります。分娩後はまずは傷の回復に努めること、そして医師の許可を得て、産褥体操をしっかり行うことが大切です。
良くなっていた痔がまた・・・
妊娠中から産後に起こりがちな痔の多くは「痔核」と呼ばれるもので、実はこれも静脈瘤です。主な症状は、出血と痔核が肛門の外に出てしまう脱出。症状は1〜4度に分けられます。軽い1度は出血のみ。2度は排便時に脱出するが自然にもどる。3度は排便時に脱出して、手で押し込まないと戻らない。4度は、排便時でなくてもいつも脱出している。妊娠・出産を繰り返していくと、だんだん悪化していくことがあるので、日常生活で気をつけていきましょう。肛門周辺の清潔と快便、血流をよくするのが基本です。また、軽度のうちに、出産した病院や肛門科で診てもらって、軟膏や座薬などでも対処していきましょう。
恥骨が痛い・・・。恥骨結合離開?
左右の恥骨の結合面は、軟骨で覆われていて、それを靭帯が補強しています。お産のときには、この靭帯もやわらかくゆるんで広がり、赤ちゃんを通しやすくします。しかし、骨盤に対して赤ちゃんの頭が大きい、回旋異常、過強陣痛(子宮収縮が異常に強いこと)、吸引や鉗子分娩などが原因で、靭帯が切れてしまうことがあります。恥骨が痛いというのが、主な症状ですが、ひどくなると立ったり歩いたりすることもできなくなり、腰から太ももにかけてしびれたりします。症状が軽い場合は数日の安静で治りますが、痛みが強い場合はガードルをつけたり、ベッドで骨盤吊り下げバンドを使って治療することもあります。
消えたはずの静脈瘤がまた!
妊娠中に足や会陰部にできていた静脈瘤(静脈がうっ血してこぶしのようになったもの)は、出産後、すぐになくなることが多いのですが、体調によってまた同じところに現れることがあります。あまり心配することはありませんが、静脈瘤が日常生活に不都合な場合にできたり、常に大きく出ているようなときには、医師に相談しましょう。
積極的に骨盤底筋を鍛える
産後1ヵ月頃からのEXERCISE
体もほぼ元に戻るころなら、少しずつ強度を上げて、骨盤底筋を鍛えましょう。
EXERCISE1
仰向けに寝て、両腕は体の脇に伸ばして手のひらを床に向けます。両ひざは立てておきます。
下腹部に力を入れて、肛門、膣、尿道を締めながら腰を上げます。そのままゆっくり5つ数えてから、腰を下ろし力を抜きます。これを5回繰り返します。
EXERCISE2
仰向けに寝て、両ひざを立てて開きます。お尻の穴をつぼめて、肛門と骨盤底筋を締めます。このとき腹筋には力を入れないように。そのまま15秒ほど締めておきます。
体の力をすっかり抜き、約45秒間リラックス。合計1分間のサイクルを10回繰り返します。
EXERCISE3
両足をそろえて立ちます。手はお腹に当てておきましょう。
両腕を頭の上に上げながら、お腹に力を入れ、下腹部、肛門、膣、尿道を一緒に引き上げます。かかとも上がり、足の裏が伸びるまで引き上げて、5つ数えたらすべて下げてリラックス。これを5回繰り返します。
EXERCISE4
EXERCISE 3と同じ姿勢で立ったら、片足を曲げ、足の裏を反対のふくらはぎの内側につけます。
EXERCISE 3と同じように両手をお腹から頭上に伸ばし、体全体も引き上げます。5つ数えたら下ろしてリラックス。左右5回ずつ行います。